プラセンタ

プラセンタに関して

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

プラセンタ注射の真実、教えます。

プラセンタ注射を日本中に広めたドクター風本真吾は、昨今、次のように語っています。

健康、素肌の維持、増進のために、「身体に針を刺して何かを注入する」「身体から血液を取り出して、操作を加えて元に戻す」などの行為を行ってはいけません。健康管理は、病気の治療とは異なります。
プラセンタ注射などの身体への侵襲的行為は、医師と依頼者との間によほど強固な人間関係がある場合を除いて、禁じ手にするべきものです。

四谷メディカルクリニック院長 風本真吾

プラセンタ注射はおすすめしないことにしました

平成の時代に、プラセンタ注射が大流行しました。あのプラセンタ注射は、私が日本中に広めてしまったのです。平成4年に開始して、平成8年頃から来院者が増え、平成13年に書籍を刊行してからは、日本中からプラセンタ注射の希望者が殺到しました。遠方から来ていただくのは申し訳ない、という思いで、こちらから出向いて、日本中にクリニックを開設したものです。

しかし、今は、プラセンタ注射を広めたのは良くなかったことだと思っています。ヒトから抽出した胎盤エキス製剤を注射で、健康増進目的、美容目的で投与するのは、健康管理の範囲を逸脱していることを悟ったのです。

出産後に胎盤が取り出されます。この胎盤は、受精卵を一人前の赤ちゃんへと育てるための諸因子を含んでいます。昭和の時代から、その諸因子の中で注目されたのが、肝細胞成長因子でした。肝臓が弱った人の肝臓を再生させる力が強かったのです。つまり、胎盤から抽出したエキス製剤は、肝機能が低下した人に対する治療薬として利用できたのです。
肝臓はもともと再生力の強い臓器です。手術で肝臓の半分を切除しても、その後、再生して元の肝臓に近い姿に戻ります。しかし、肝硬変になると再生力は極端に弱まります。そんな肝臓をよみがえらせる治療薬として、処方せん医薬品として認可されていました。
平成4年、私が自己のクリニックを創業した頃、この胎盤エキス製剤(以下、単に「プラセンタ」と名づけます)を点滴で用いていました。医療用として認可されたのは、肝臓治療目的ですが、胎盤そのものには、様々な成長因子が含まれているので、健康管理上の効果があるだろうという目論見でした。
点滴をするときはビタミン剤などをセットにしていましたが、平成8年ごろから、
「このプラセンタを筋肉注射で打ってみよう。そうすれば手軽になる」
という閃きが生まれました。
「肌がきれいになる」という美容効果を目的に、日本中から来院する人が増えました。プラセンタ注射は、体表面に何かを塗るのではなく、「身体の中から肌をきれいにする」という手法になります。そこに注目して、「身体の中から美肌を作る」を啓蒙した「一週間スキンケア」(三笠書房)という書籍を平成13年に執筆し、この書籍が10万部以上売れるに至って、プラセンタ注射は日本中の皮膚科、美容外科、婦人科に広まっていきました。さらに、アメリカで発表されたアンチエイジング・プロトコールにプラセンタ(胎盤抽出エキス)が推奨されたこともあり、世界に広まっています。

そうしているうちに、私のクリニックで、「臍帯血の点滴を行ったらどうか」とすすめる人が現れました。「臍帯血には幹細胞がたくさん含まれている。もちろん、拒絶反応の問題はあるが、遺伝子的に一致度が高い人には、その臍帯血を輸血することができる。輸血すると人体が若返る」というものです。理屈、その他を一生懸命に説明してくれました。
その話を聞いているうちに嫌悪感が出てきました。これは、健康管理の範囲を逸脱している、という嫌悪感です。他者の生体物質を直接体内に投与するという治療行為により、どのような副作用リスクがあるかは、想定内に収まるとは思えません。
同じことをプラセンタ注射にもあてはめるようになりました。回収した胎盤には、未知のウイルスを含め、何が含まれているか分かったものではありません。もちろん製造過程では、厳格にチェックされ、ダメなものが検出されれば、元の胎盤そのものが排除されています。製薬会社の製造ラインには絶対の信用を置いていますが、一瞬の油断がないともいえません。その一瞬の油断が、広範囲に健康被害をもたらします。たった、一度の一瞬の油断で取り返しのつかないこともあり得るのです。内服なら、人体は吸収していいかどうかを選別しますので、安全度はけた違いに高まりますが、注射は、成分を丸ごと、有無を言わせず体内に放り込んでしまいます。
健康管理の範疇では、内服などの「人体機能で自然吸収されるもの」の範囲にとどめておく、というのを絶対ポリシーにしなければいけない、と思ったものです(もちろん、毒物の摂取は論外です)。同じ効果をもたらすものを内服製剤で開発することにエネルギーを使うべきだ、と決心しました。

そういうわけで、健康管理で実施していいことに、自ら禁じ手を設けることになりました。
海外への健康ツアーが見られます。
「血液を取り出して、浄化して元の身体に戻す」
「血液を取り出して、幹細胞を培養し、元の身体に戻す」
などの健康増進を謳っていますが、人体に針を刺して感染リスクがあるような何かの操作を行う、という健康法は絶対にお勧めできません。
プラセンタ注射も、何かの病気の治療目的でない限りは奨めないことにしました。今では、内服製剤で、プラセンタ注射に匹敵する効果のあるものを利用できるようになっています。

私は健康管理学を学問として大成させていくための道筋を作り、後世に残したいと思っています。この学問を大きく成長させるためには、「あれはやらない。これはやらない」という禁止部分を設定して、「やっていいこと」の限られた底辺範囲を限定し、その限定されたものを上に伸ばしていくことが大切です。それが、「成長の法則」です。
ボクシングを見てください。ボクシングはグローブをつけた手で相手を倒します。蹴ってはいけない、投げてはいけない、頭突きをしてはいけない、肘うちはいけない、などのルールがあります。そのルールを守るから、グローブをつけた手だけで相手を倒す技術が進歩するのです。その戦いには美しさが伴います。ルールがなければ、醜い喧嘩があるだけです。
あれにも手を出す、これにも手を出す、というふうに底辺をベタっと広げていくと、上に伸びないのです。底辺に禁じ手を定めて、範囲を絞ることによって上に成長するのです。
健康管理もそれと同じです。注射針を刺して何かを注入する、身体から何かを抜き出して操作を加えてまた身体の中に戻す、などの行為は、それが健康上の効果があるかないか、リスクがあるかないか、などとは関係なく、健康管理学の範囲からは排除するべきだと思っています。それらを実施しようとしている業者には、健康の維持、増進などと語らず、侵襲的人体改造法とでも銘打って、健康管理学とは別枠のものと考えてもらいたいものです。ただし、病気で悩んでいる場合、たとえば皮膚の病気で悩んでいる人には、プラセンタ注射を試してもいいと思います。
「成長の法則」を考えるなら、警鐘を鳴らさなければいけないことが一つあります。

健康管理学はソフト部分が大切です。放射線を使うような検査機器に頼っていくと、その結果に頼る医療者が、健康管理指導において成長しなくなります。つまり、ソフトが成長しないのです。検査設備を揃えればいいや、という方針を持つ人間ドッククラブが増えていることには、嘆かわしい何かを感じます。健康管理学の遂行は、医師と依頼者のコミュニケーションを土台にしなければいけないのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

【無料】あなたの肌のお悩み解決します

あなたの肌の状態やお悩みを教えてください。専属のカウンセラーが担当者となり、医師からのアドバイスをお届けします(無料)。

オンライン問診はこちら